15 2023 /

税理士が提供するコンサルタント業務とは?税理士として提供できる付加価値

税理士が提供するコンサルタント業務とは?税理士として提供できる付加価値
タックスドーム・ ジャパン

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税理士の主な業務は独占業務として法律で規定されています。しかし、ITツールの一般化や税理士の数の増加によって競争が激化したことで、独占業務だけでは食べられなくなった税理士もおり、税理士の仕事の範囲が広がっています。結果として、税理士は起業、経営、M&Aなどのコンサルティング業務にも関与し、高付加価値を提供することが求められていると言えるでしょう。

そこでこの記事では、高付加価値を提供できる税理士になるためのコンサルティング業務について説明します。

税理士とコンサルタントの違いとは?

この章では税理士とコンサルタントの主な違いについて説明します。

税理士とは?

税理士は、主に企業の財務管理に関する専門家で、経理データをもとに税務手続きを行ったり、節税策を提案したりする役割を担います。クライアントの会社の財務や経理に精通しており、税金に関するアドバイスや申告手続きを行います。

コンサルタントとは?

一方、コンサルタントは、クライアントの会社の経営データを分析し、将来の事業戦略や必要なシステム構築など、さまざまな分野で提案とアドバイスを行います。クライアントの特別な要望に応じて、事業再生、資金調達、IT、マーケティング、人材などに特化したコンサルタントも存在します。

税理士とコンサルタントの違いは?

税理士とコンサルタントの最も分かりやすい違いは、必要な「資格」です。税理士は国家資格で、独占業務と呼ばれる、税理士資格が必ず必要な仕事があります。一方で、コンサルタントには特定の資格が必要なく、中小企業診断士などの資格を持つこともあれば、資格を持たない場合もあります。

コンサルタントの職務は幅広く、企業の状況に応じて様々なアドバイスを提供します。企業側とすれば、課題に合わせて適切なコンサルタントを選び、助言を得ることで、経営の質の向上に役立ちます。

コンサルタントとして提供する付加価値

かつて、税理士業界の主要業務は主に顧問業務で、独占業務を提供することが一般的でした。しかし、最近では税理士事務所の中には、単発のコンサルティング業務なども提供するところが多くあります。

税理士には通常、経営者との密接な関係を築くため、経営課題や解決策について議論する機会があります。これらを経ることにより、税理士と経営者の間で信頼関係が築かれ、コンサルティング業務が増加する可能性があります。

また、「顧問料の自由化」などにより、市場環境にも変化が見られています。「顧問料の自由化」は税理士事務所が顧問料を自由に設定できるようになったことを指します。税理士の数は増加しており、競争が激化しています。そのため、多くの税理士事務所は、通常の業務に加えて、高付加価値のサービスを提供し、他の事務所と差別化しようと考えています。

ITによる業務効率化も大きな影響を与えています。クラウド会計ソフトや事務所内の業務プロセスを統合的にかつ効率的に管理でき、組織全体の生産性を大幅に向上させる業務マネジメントツールにより、煩雑な作業が自動化され、税理士は時間を節約し、より高度な業務に専念できるようになっています。

このような環境変化によって、多くの税理士事務所がコンサルティング業務を提供し、顧客に高付加価値を提供しようとしているのです。

税理士の提供するコンサルティング業務

税理士は国家資格を持つ専門家であり、主に税務と会計に関する専門知識を持っています。通常、税理士は税務と会計に関連した業務を担当します。一方、コンサルタントの仕事は、企業経営に関するアドバイスや提案を含み、幅広い業務が該当します。税理士がコンサルタントとして活躍する際には、税務や会計に関する専門知識を活かすことができます。

税理士のコンサルティング業務には、税務と会計に関連する分野以外にも、起業、経営計画、財務、株式公開、M&A、事業承継、組織再編、事業再生などが含まれ、クライアントに対してアドバイスや提案を行います。

この章では税理士が提供するコンサルタント業務を具体的に説明します。

1. 節税対策

税理士が提供するコンサルティングとして最初に思い浮かべるのは、節税対策ではないでしょうか。税理士は税金計算を正確に行う責務がありますが、クライアントは同時に節税のアドバイスを期待しています。

ただし、節税対策を過度に行うことは、税理士にとってリスクを高める可能性があるため、慎重に行う必要があります。税理士は税務署と頻繁に連絡を取り合う必要があるため、極端な節税対策を取りすぎると、税務署から監視の対象となり、税務調査のリスクが高まる可能性がありますので注意が必要です。

2. 税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、M&A取引において、対象となる会社の税務関連の書類や記録を詳細に調査し、潜在的な税務上のリスクや問題点を特定するプロセスです。これには、税務申告書だけでなく、取引相手のビジネスモデルや財務状況を理解し、経営者との面談を通じて詳細な情報収集が含まれます。

税務デューデリジェンスによって明らかになった問題に対しては、解決策やリスク軽減策を提案することがあります。たとえば、未払いの税金が発見された場合、これをどのように扱うべきか、M&A契約の交渉時にアドバイスが行われることがあります。

3. M&Aのスキーム選択に関するコンサルティング

M&Aを行う際、税金の取り扱い、株式譲渡、合併、会社分割など、選択する取引スキームによって大きく変わることがあります。たとえば、合併の場合、適格合併とそうでない非適格合併では、税金の扱いが全く異なります。

そのため、税理士は、取引スキームに関するアドバイスを提供することがあります。M&Aのスキームは一度選択されると変更が難しく、かつ、大きな影響を与えるため、M&Aのスキーム選択に関するコンサルティングは大規模なM&Aプロジェクトでは責任の重い仕事となります。

4. 国際税務コンサルティング

税理士には日本国内の税務に関する知識だけでなく、国際税務にも深い理解が求められます。国際税務コンサルティングを行う税理士事務所は、通常、海外の税理士事務所やコンサルファームと提携しています。

現地の税務事情は、その国のプロフェッショナルに相談しなければ正確に把握できないため、提携先が重要です。例えば、日本から海外への輸出事業を行う場合や、外国人が日本で事業を展開する場合など、グローバルな展開が増える中で、国際税務コンサルティングの重要性が増していると言えます。

5. 富裕層向けの総合コンサルティング業務

税金に関する問題は、数億円以上の資産を持つ富裕層にとってはより重要です。日本において所得税は累進課税制度を採用しており、資産や収入が多いほど高額な税金を支払わなければなりません。そのため、税理士は富裕層に向けて、節税を中心にした包括的な税務コンサルティングサービスを提供することがあります。

税理士がコンサルタントになるには

税理士の資格を生かしてコンサルティング業務を行う方法には税理士法人でコンサルティング業務を行うか、コンサルティングファームで働くことがあります。自身のキャリア目標に合った方法を検討しましょう。

それぞれについてこの章で説明します。

コンサルティング行っている税理士法人に務める

税理士としての実績を築きたいなら、コンサルティング業務を提供している税理士法人で働くという方法があります。特に、大規模で組織化された税理士法人では、税務顧問業務とコンサルティング業務を同時に行うことができます。

コンサルティング業務について思い浮かぶのはコンサルファームかもしれませんが、税理士法人でもコンサルティング業務を行えます。新規事業のサポート、経営計画の策定、資金調達、事業継承などに関する相談を受け入れている税理士法人もあり、税理士としてのキャリア向上が期待できます。

コンサルティングファームに勤める

コンサルティングファームとは、企業のコンサルティング業務を専門に提供する会社です。経営戦略、M&A、財務、組織人事など、クライアントが抱える課題に専門の担当者が対処し支援します。

例えば会計系のコンサルファームは、税理士法人の子会社として設立されることが多いですし、独立して存在する場合もあります。税理士が転職する際には、税務専門家としての経験を有利に活かせることがあります。

コンサルティングファームでのキャリアに関しては次章で詳しく説明します。

コンサルティングファームでのキャリア

従来、税理士は主に会計事務所や税理士法人に就職または転職することが一般的でした。しかし、税理士業界の競争が激化しているため、最近では税理士資格を活かしてコンサルティングファームで働く税理士も少なくありません。

コンサルティングファームには、主に以下の種類があります。

総合系コンサルティングファーム

総合系コンサルティングファームは、企業の経営に関わるあらゆる面でサポートを行い、事業戦略の策定からシステム構築など幅広いサービスを提供します。

戦略系コンサルティングファーム

戦略系コンサルティングファームは、主に大手企業や国際企業を対象に、経営戦略やM&Aを含む戦略に関するコンサルティングを提供します。

シンクタンク系コンサルティングファーム

シンクタンク系コンサルティングファームは、研究所のような役割を果たし、経済調査、政府機関向けリサーチ、ITコンサルティング、マネジメントコンサルティングなど幅広い分野で活動します。

企業・事業再生系コンサルティングファーム

企業・事業再生系コンサルティングファームは、業績が大幅に悪化した企業の再生を専門的にサポートします。

IT系コンサルティングファーム

IT系コンサルティングファームは、システムの構築やビジネスにおけるIT活用に関するサービスを提供しています。

マーケティング系コンサルティングファーム

マーケティング系コンサルティングファームは、広告を活用したマーケティングに関するサービスを提供しています。

人材系コンサルティングファーム

人材系コンサルティングファームは、企業に対して人材戦略、採用、評価などのサポートを提供しています。

税理士資格が特に評価されるのは、財務・会計に密接に関連する総合系および企業・事業再生系のコンサルティングファームです。一方、税務との関わりが薄い戦略系や人材系などのコンサルティングファームでは、税理士資格があまり評価されないことがあります。

自身の強みを生かせる分野を選んで転職を考えることがオススメです。

まとめ

税理士業界も変化しており、これまでの業務だけでなく、より高い付加価値の提供が求められています。その結果、経営支援サービス、事業承継、バックオフィス業務の改善など、コンサルティング業務を行う税理士が増加しています。

税理士は経営者にとって身近な相談相手であり、税理士業務に加えて経営コンサルタントとして顧客の問題を解決することで、顧問先との信頼関係を一層強化できると言えます。

そして、コンサルタント業務などの付加価値業務の提供に力を注ぐためにも、世界中の税務会計のビジネス現場で利用されている「TaxDome(タックスドーム)」に代表される業務マネジメントツールの運用開始の機運が高まり、今後の税務サービスビジネスの発展を更に促進すると期待されています。

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