TaxDome導入で実現した業務効率化と顧客満足|税理士法人 MOVE ONの活用事例

TaxDome導入で実現した業務効率化と顧客満足|税理士法人 MOVE ONの活用事例
Written by TaxDome Japan チーム
5 分
14 11 2025

福井県福井市に拠点を置く「税理士法人 MOVE ON」は、主に中小企業の成長支援を軸とする会計・税務・経営コンサルのプロフェッショナル集団。「数字の先にある人の想い」を大切にし、経営者の人生そのものに寄り添うスタイルで、財務・会計の枠を超えた総合的な経営支援を行っています。経営数字の背後にあるストーリーを読み解き、社長の人生設計や事業の方向性まで共に考える姿勢は、多くの中小企業経営者から厚い信頼を得ています。

同社は、税務や会計にとどまらず、財務支援や補助金申請、事業承継支援などにも積極的に取り組み、企業の持続的な成長を多角的にサポートしています。こうした中小企業の経営課題に幅広く寄り添う姿勢は、税理士法人 MOVE ONならではの特徴のひとつです。2023年には、全国約1,700の会計事務所の中から「経営革新等支援機関推進協議会」により3年連続TOP100事務所に選出され、その実践的な支援体制と社会的な貢献が高く評価されました。

福井を拠点にしながらも、全国各地の企業から相談を受けるなど、地域に根ざしつつ広い視野で経営サポートを行う同社。クラウドツールやDXへの取り組みにも積極的で、常に「より良い働き方」「より高い顧客満足」を実現するための新しい方法を模索し続けています。

さらに、同社が展開するコンサルティング会社「一般社団法人 MUSCLE and MONEY」では、“勝ち残りたい小企業のためのサバイバル戦略”を掲げ、経営の現場に寄り添った実務支援や戦略設計を推進しています。財務・会計にとどまらず、企業が持続的に成長していくために必要な視点を多角的に捉え、未来に向けた経営基盤づくりを後押しするこの姿勢は、税理士法人 MOVE ONの仕事観そのものを象徴するものです。こうした「経営の継続性」を重視する考え方は、日々の業務や顧客支援のあり方にも一貫して息づいています。

本日は、同社代表の孫崎健次さん、そして実務の中心を担う土井有香さんに、TaxDome導入の背景と、業務現場での活用についてお話を伺いました。

孫﨑健次さん & 土井有香さん

税理士法人 MOVE ONの土井有香さん(左)と代表の孫﨑健次さん(右)

複数ツールを使って見えた“限界”と、TaxDome導入の背景と決め手

多くの税理士・会計事務所にとって、顧問先とのデータ共有やコミュニケーションをいかに効率的に行うかは、常に頭を悩ませるテーマです。税理士法人 MOVE ONでも、電子帳簿保存法への対応が求められ始めた時期に、まずは既存の従来型のデータ共有ツールをいくつか試してみたとのことです。

当初、顧問先とのデータ共有には、税理士・会計事務所向けのクラウドのファイル共有ツールを試していました。電子帳簿保存法に対応していた点は魅力でしたが、実際に使ってみると、事務所へデータ共有を行う度に、顧問先がすべての項目を手入力する必要があり、ツール操作の説明にも30分以上かかってしまったといいます。入力作業の負担が大きく、顧問先にとっても使いづらいもので、事務所側もフォローに多くの時間を取られてしまいました。「事務所サイドとお客様サイド、お互いにとって便利な仕組みを探して、試行錯誤していた時期でした」と、土井さんは当時を振り返ります。

その後、Windowsのエクスプローラーに近い操作感を持つ別のファイル共有ツール「セキュアSAMBA」も試してみたとのことです。フォルダ構成で整理しやすく、使い勝手の面では悪くありませんでしたが、あくまでファイル共有の範囲にとどまり、このツールを導入することにより、顧問先とのやり取りや業務全体の流れを根本的に改善するには至りませんでした。

一方、TaxDomeでは、専用のデスクトップアプリを使えば、セキュアSAMBAのようにエクスプローラー感覚でファイルを操作できます。同じ使い勝手を保ちながら、ファイル共有だけでなく、顧客とのチャットやタスク管理、電子署名といった機能まで同一プラットフォーム上で完結できる。そのため、SAMBAを使い続ける必要はなく、ファイル共有のソリューションとして、TaxDomeに移行することにより、「業務全体を見渡しながら、お客様との関係も一元的に管理できるようになる」と、土井さんは確信したとのことです。

税理士法人 MOVE ONの土井有香さん

TaxDomeの画面を確認しながら話を聞かせてくれた土井さんは、社内DXを支える中心的な存在

当時、事務所の業務は日々複雑化していました。月次処理や年末調整、確定申告など、顧問先ごとに異なるスケジュールと依頼内容を正確に把握し、スタッフ間で連携を取りながら進める必要があります。従来のように「ファイル管理はAのツール」「チャットはBのアプリ」「タスクはスプレッドシート」といった分散運用では、情報が点在し、作業の重複や見落としも発生しがちでした。

「お客様から『この資料、どこにアップしましたっけ?』と聞かれるたびに、スタッフがそれぞれのツールを確認して回る。これでは本来の業務に集中できない」と、土井さんは感じていました。

TaxDomeの導入を検討する際には、単に“機能が多い”という理由ではなく、「チーム全員が迷わず使えるか」「顧問先にとって負担がないか」を重視したとのことです。

ツールとしてすべて直感的でわかりやすく、画面構成もシンプル。お客様が迷わないことが何より大事。TaxDomeは、その点で圧倒的に優れていました。

こうして同社は、段階的にTaxDomeを導入。まずはデータ共有とチャット機能から運用を始め、すぐにタスク・案件管理、自動化設定へと活用の幅を広げていきました。結果として、TaxDome導入から約1年で、従来使用していた4つのツールを一本化でき、運用コスト・スタッフ工数の大幅な削減に繋げることができたとのことです。業務と顧客対応の両面で、すでに導入初期から大きな成果を実感していたといいます。

TaxDome画面イメージ

TaxDome:税理士・会計事務所のためのオールインワン型の業務マネジメントツール

自動化と一元管理がもたらした、業務革新とチーム連携の進化

TaxDome導入後、同社で最も大きな変化が見られたのが「自動化」と「一元管理」でした。税理士・会計事務所の業務は、毎月発生する定型タスクと、案件ごとに異なるスポット業務の組み合わせで構成されています。特に月初は、源泉徴収や給与計算、帳簿データの確認依頼など、事務所全体が同時多発的に動く“最繁忙期”でもあります。

以前は、毎月、各顧問先ごとに案件を手作業で作成していましたが、現在はTaxDome上でそのプロセスを完全に自動化できているとのことです。月初の1日に案件が自動で立ち上がり、担当者が都度作成する必要がなくなったことにより、各業務の立ち上がりがスムーズになり、「月初に集中していた作業負担が大幅に軽減された」とのことです。

たとえば「源泉ダイレクト」という月次案件では、毎月同じ処理が必要になるため、TaxDomeの自動化設定を活用。チャット形式でのお客様への案内メッセージも同時に自動送信されるようにしており、担当者は個別にメッセージを作成する必要がなくなったとのことです。こうした一連の作業がすべて自動で立ち上がるようになったことで手作業のタスク作成やリマインド作業がほぼゼロに。「担当者が手を動かす時間が大幅に減り、クライアントへのフォローや内容確認など、本質的な業務に集中できる体制を築くことができた」と、土井さんはTaxDome導入効果を振り返ります。

TaxDomeパイプライン一覧ページ

税理士法人 MOVE ONの実際の事務所ポータル画面。業務の自動化は「パイプライン」で管理が可能。

また、タスクや案件の進捗状況がリアルタイムで可視化されるようになったことも大きなメリットのひとつとのことです。担当者だけでなく、管理者や他のチームメンバーもステータスを一目で確認できるため、「いまどの顧問先がどの段階にあるのか」「誰がボールを持っているのか」が即座に把握できます。一時的に別の担当者が対応する必要がある場合でも、過去のチャット履歴やファイル共有の記録がすべて残っているため、引き継ぎにかかる時間も短縮。「担当交代時の情報の抜けや認識ズレがなくなり、チーム全体の業務品質が安定しました」と、土井さんは実感を語ります。

自動化による恩恵は、スタッフだけでなく顧問先側にも及んでいます。チャットでの定期連絡や資料提出の依頼が自動で届くことで、顧問先も“次に何をすればいいか”を常に把握できるようになりました。こうした仕組みが結果的に、双方のやり取りを減らしながらも、やるべきことが確実に進む信頼関係を生み出しています。

さらに、TaxDomeの導入によって社内で利用するツール数を大幅削減できたことも効率化に拍車をかけました。

チャット、ファイル共有、タスク管理、進捗確認をそれぞれ別のツールでやっていた頃は、その分だけ通知も多く、ログイン先もバラバラ。今はTaxDomeひとつを見ればすべてが完結するので、事務所の運営がスマート化しています。

と、土井さんは語ります。

同社では、TaxDomeの導入から数ヶ月の時点で、顧客との連携効率が40%以上向上したと実感していたといいます。ツールの切り替えや重複作業が減ったことで、事務所全体の稼働バランスが改善し、必然的に顧問先への対応のスピードや品質の底上げにも繋がったとのことです。

TaxDomeジョブ一覧ページ

税理士法人 MOVE ONの実際の事務所ポータル画面。毎月のチャット連絡は、オートメーション設定が可能。

顧客対応から社内連携まで:コミュニケーションを変えたひとつのプラットフォーム

税理士・会計事務所における日々の業務の中で、もっとも多くの時間を占めるのが「顧客とのやり取り」です。申告書や決算書の確認、領収書の送付依頼、進捗報告や質問のやり取りなど ── そのほとんどが小さなコミュニケーションの積み重ねです。税理士法人 MOVE ONでも、以前はメールやチャットワークなど複数のツールを使い分けていましたが、「情報が分散してしまい、誰がどこまで対応したかがわかりづらい」という課題を感じていたといいます。

以前はお客様とのやり取りがツールごとに散らばっていて、同じ案件について複数の担当が同時に別々の連絡をしかねない状態でした。TaxDomeを導入してからは、顧問先ごとのチャットスレッドにすべての履歴が集約され、担当者全員が同じ情報を共有できるようになりました。

と、土井さんは語ります。

顧問先とのチャットは、単なるメッセージ機能にとどまらず、ファイル共有やタスク連携とシームレスに結びつきます。たとえば顧問先が決算書を確認したいときは、TaxDome上で必要なファイルをすぐに閲覧・ダウンロードでき、そのまま同じ画面で質問やコメントを送ることもできます。顧客自身がTaxDome上で必要な書類を確認できるようになったことで、事務所と顧客の間の細かなやり取りが大幅に減り、双方にとって作業効率が格段に向上したとのことです。

さらに、顧問先の多くがTaxDomeの専用モバイルアプリを活用しており、スマートフォンからでも書類の確認・アップロード・チャットが可能となっています。顧客ごとのアプリ利用状況は事務所の管理画面から即座に確認できるため、利用が少ない顧問先には適切なフォローアップを行うなど、運用レベルでのサポートもスムーズに行えているとのことです。紙やメールを介さずに情報の流れが整備されたことで、顧問先からも「使いやすい税理士事務所」としての評価が高まり、顧客満足度の向上にも寄与しています。

TaxDome顧客一覧ページ

税理士法人 MOVE ONの実際の事務所ポータル画面。モバイルアプリの使用状況は即時にチェックが可能。

一方で、TaxDomeの導入効果は顧客対応だけにとどまりません。2025年にリリースされた新機能「チームチャット」も、同社ではいち早く実務に取り入れました。スタッフ間の連絡や確認事項をこのチームチャット上で完結できるようになり、従来のように別ツールを開く手間がなくなりました。グループの設定やチャンネル管理を細かく行う必要もなく、必要な人に必要な情報だけが届く仕組みが整ったことで、社内コミュニケーションの効率も大きく向上。余計な通知や確認の手間が減り、各スタッフがより集中して業務に取り組める環境が整いました。

顧客とのチャットと社内のチームチャットという、2つのレイヤーをTaxDome上で統合できたことは、同社にとって大きな転換点となりました。顧客とのやり取りもスタッフ間の情報共有も同じプラットフォームで完結するようになったことで、業務の流れがシンプルになり、チーム全体のスピード感が向上。誰がどの業務をどこまで進めているかを全員が常に把握できるようになり、業務の透明性も高まりました。

さらに特筆すべきは、TaxDomeが単なる業務ツールにとどまらず、同社の“働き方”そのものに影響を与えている点です。導入を機に、業務プロセスの見直しや役割分担の明確化が進み、チーム全員が「情報を共有すること」を前提に業務を設計するようになりました。各スタッフが自分の作業履歴をシステム上に残すことで、誰が見ても進捗がわかる状態が実現し、属人的な業務が減少。結果として、チーム全体の一体感が高まり、顧客対応の品質もさらに向上しています。

TaxDomeパイプラインサンプル

税理士法人 MOVE ONの実際の事務所ポータル画面。各顧客案件は、カンバン形式で俯瞰的に管理が可能。

また、以前は業務管理ツールとして「kintone(キントーン)」を使用していましたが、TaxDomeへの移行によってその役割をすべて一本化。kintoneでは案件進行や社内タスク管理を行っていた一方で、顧客との連絡やファイル共有は別のツールに分かれていました。TaxDomeでは、これらがすべて一つのプラットフォーム上で連動し、業務管理・顧客コミュニケーション・データ共有が完全に一元化。担当者以外のスタッフでも過去のやり取りをすぐに確認できるようになり、引き継ぎや一時的な代行対応もスムーズになりました。また、土井さんによると、kintoneからTaxDomeへの移行はスムーズに行き、操作感にも大きなギャップがなかったことから、社内定着も早かったとのことです。

理念と実務をつなぐ、士業DXのブループリント

税理士法人 MOVE ONの取り組みは、まさに日本の士業業界が直面する課題 ──「業務効率化」「人材不足」「顧客満足」「働き方の多様化」──へのひとつの答えといえます。

TaxDomeは、アメリカ発の士業向けオールインワン業務管理プラットフォームで、現在では世界25か国以上の会計・税務・士業プロフェッショナルに利用されています。顧客ポータル・チャット・ファイル共有・電子署名・顧客への請求・タスク管理など、事務所運営に必要な機能をオールインワンで備え、さらに SOC 2 Type II認証およびGDPR準拠という、世界的にも最も厳格なセキュリティ・プライバシー基準を満たしています。顧客情報を扱う士業事務所が、国際的な信頼レベルで安心して利用できるよう設計された、ワンストップ型の業務管理プラットフォームです。

2024年春に日本版がリリースされて以降、国内でもTaxDomeの導入が急速に進んでいます。東京や大阪といった大都市圏だけでなく、税理士法人 MOVE ONのように地方に拠点を置く事務所でも導入・活用が広がり、地域に根ざしながら、さまざまな顧客を支援する士業事務所にとって、クラウドベースで一元管理できる環境は、チームの連携力を高める大きな支えとなります。

孫崎さんがTaxDomeを知ったのは、税理士向けのSNSコミュニティでの情報がきっかけでした。「そんなすごいものがあるのか」と強く印象に残り、その後の正式リリースを機に導入を決断。導入から約一年が経過した今も、その印象は変わっていないとのことです。

プロダクトとしての完成度が非常に高く、将来性を強く感じています。一見、複数の機能をまとめた、従来型の“便利ツール”のように見えるかもしれませんが、TaxDomeは根本のコンセプトがまったく違う。我々の会計業界では、こうしたツールは他に存在しません。

と、孫崎さんは語ります。

TaxDome導入を決めた孫崎さんと土井さんの判断は、同社が掲げる「持続的な成長に寄り添う」というスタンスにも通じています。中小企業が未来に向かって成長できるよう、戦略から実行まで伴走する姿勢は、会計・税務の枠を超えた経営支援そのものです。

さらに、クラウドベースの業務環境を整えたことは、人材確保という業界共通の課題にもプラスに働いています。TaxDomeを中心に据えた同社の業務基盤では、スタッフが必ずしもオフィスに出社する必要がなく、場所を問わず同じ品質で業務にアクセスできる環境が整いました。そのため、「働きたいが出社は難しい」という優秀な人材も活躍できる機会が広がり、採用の幅が大きく広がったとのことです。こうした働き方の柔軟性は、同社が目指す持続的な運営体制づくりにも貢献しています。

税理士法人 MOVE ONにおけるTaxDomeの導入は、同社が大切にしてきた価値観を実務レベルで体現する大きな一歩でした。

同社にとって、TaxDomeはもはや単なる“業務効率化ツール”ではありません。顧客満足度とチームの生産性を高めるだけでなく、リモートワークを前提とした柔軟な働き方を実現し、優秀な人材が活躍しやすい環境を整える──“事務所運営の基盤”そのものへと進化しています。

士業DXが加速する今、同社がTaxDomeを用いて築いてきた業務体制は、これからの会計・税務事務所が直面する課題──業務効率、顧客満足、人材確保、働き方改革──に応えるための、ひとつの実践的なモデルといえるでしょう。

税理士法人 MOVE ONが取り組んできた変革は、士業業界の未来を拓く“ブループリント”として、多くの事務所にとって確かな指針となるはずです。

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取材協力:税理士法人 MOVE ON
※本記事は、2025年10月に実施された同社への取材内容をもとに構成されています。
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会計事務所博覧会2025でのTaxDomeブース

会計事務所博覧会2025でのTaxDomeブース展示。

TaxDome Japan チーム
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税務・会計をはじめ、世界中の士業事務所の業務を支えるオールインワン業務マネジメントツール「TaxDome」は、日本全国各地でも導入が急速に進んでいます。導入や活用に関するご相談は、TaxDome Japan マーケティングチーム(japan@taxdome.com)までお気軽にお問い合わせください。

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