行政書士による許認可申請業務の概要

行政書士による許認可申請業務の概要
Written by TaxDome Japan チーム
3 分
15 06 2025
27 06 2025

許認可申請は、事業開始にあたって避けては通れない重要な手続きの一つです。

建設業、飲食業、風俗営業など、業種ごとに必要となる「許可」や「認可」は、事業の合法的かつ円滑な運営を実現するための土台となります。これらの申請を正確かつ効率的に行うことが、事業を安定してスタートさせるための鍵を握っています。

このような申請業務において頼れる存在が行政書士です。行政書士は、許認可に関する豊富な知識と実務経験をもとに、書類の作成から提出、関係法令のチェック、必要な助言まで、専門的な立場から申請者をサポートします。これにより、申請ミスや法的トラブルの発生を未然に防ぐことが可能になります。

そこで本記事では、行政書士が手がける許認可申請業務の内容を詳しくご紹介するとともに、その重要性や実際の手続きの流れについて解説します。

行政書士とは

「行政書士」は、1951年にできた「行政書士法」という法律によって定められた国家資格で、法律の知識を生かして私たちの暮らしをサポートしてくれる専門家です。そのため、「街の法律家」と呼ばれることもあります。

行政書士の主な仕事は、大きく3つに分けられます。

1つ目は、役所に提出する書類や契約書、証明書などを作る「書類作成の仕事」。

2つ目は、その書類を使って、許可や認可の申請を依頼者の代わりに行う「申請の代行」。

3つ目は、依頼者の相談に乗り、法律の観点からアドバイスをする「相談対応の仕事」です。

行政書士は、行政(役所)と市民をつなぐ架け橋として、社会の変化に合わせてその役割を広げながら活躍しています。

許認可申請業務とは

行政書士の業務の中には、行政書士にしか認められていない「独占業務」と呼ばれるものが多く含まれており、これが業務の核となっています。

行政書士の独占業務は、次の3つが代表的です。

  • 官公署に提出する書類の作成
  • 権利や義務に関する文書の作成
  • 事実関係を証明する書類の作成

このうち、官公署に提出する書類については、多くが許認可申請に関する業務になります。許認可申請に関する業務とは、行政機関に対して各種の申請手続きを行うものです。許認可には届出・登録・認可・許可・免許の5つの種類があり、業種によって必要となる申請の内容や提出先が異なります。

例えば、飲食店や建設業、運送業を始める場合には「許可」が必要です。一方で、宅地建物取引業を開始するには「免許」が求められます。

許認可の分類とその概要

許認可には大きく分けて5つの種類があり、それぞれ手続きの内容や必要な条件が異なります。以下にそれぞれの特徴と申請時の注意点について説明します。

  • 届出:事業を始める前にその内容を所轄の行政機関に届け出る手続きです。法令に違反しておらず、必要事項が正しく記載されていれば、原則としてそのまま受理されます。
  • 登録:事業者が行政機関に必要書類を提出し、公的な名簿等に記録される手続きです。この登録が完了することで、事業を公式に開始できる体制が整います。
  • 認可:申請者が法律で定められた条件を満たしているかどうかを行政機関が確認し、それを認める手続きです。申請後、行政機関の判断によって認められることで、正式に認可を得ることができます。なお、認可の取得には行政側の確認があるため、届出や登録に比べて時間がかかる点に注意が必要です。
  • 許可:法令によって本来禁止されている行為を、特定の条件を満たした場合に行政が特別に認める手続きです。申請後は厳格な審査があり、内容によっては取得に時間がかかる場合もあるため、事前に十分な準備をしておく必要があります。
  • 免許:特定の資格を有する人が、その資格に基づいて業務を行うことを行政が正式に認める手続きです。免許申請には、あらかじめ法律で定められた資格(国家資格など)を取得していることが前提となります。

行政書士が担う役割と業務の範囲

行政書士は、私たちの暮らしやビジネスのさまざまな場面で重要な役割を果たしています。

飲食店の開業、相続手続き、会社設立、補助金の申請など、日常生活に身近な場面で行政書士のサポートを受けることができます。

飲食店を開くとき|営業許可の取得支援

飲食店を開業するには、保健所から営業許可を取得する必要があります。行政書士は、この営業許可申請を店舗経営者に代わって行うことができます。

申請書類の作成だけでなく、必要な条件を満たしているかの確認や、保健所とのやり取り、現地の立ち会いなども含まれるため、専門知識と実務経験が求められます。許可が下りなければ営業できないため、行政書士に依頼することで、スムーズかつ確実に開業準備が進められます。

親族が亡くなったとき|相続手続きの支援

家族が亡くなった際には、相続に関するさまざまな手続きが必要です。行政書士は、依頼者の代わりに相続手続きを行い、負担を軽減します。

遺言書の作成支援や、遺産分割協議書の作成、相続財産・相続人の調査、遺言執行など、多岐にわたる業務を担っています。近年は高齢化の影響で需要が増加しており、地方でも活躍の機会が多い分野です。

会社を設立するとき|起業時の各種手続き支援

会社設立時には、定款の作成や公証人とのやり取りなど、さまざまな手続きが発生します。行政書士は、それらの準備を一括してサポートし、必要に応じてほかの専門家(司法書士・税理士など)と連携しながら会社設立を支援します。

法人設立後も、許認可申請や補助金の申請など、多様な業務が発生するため、それらを含めて継続的にサポートできるのが行政書士の強みです。

国や自治体の支援を受けたいとき|補助金申請のサポート

事業者が国や自治体からの補助金を申請する際、行政書士がその手続きを代行するケースが増えています。

どの補助金を利用できるのか、要件を満たしているのか、必要な書類は何かなどを事前に整理し、スムーズに申請できるようにサポートします。行政書士の支援により、制度の活用が難しいと感じていた事業者でも、補助金を受けやすくなります。

申請が却下されたとき|不服申立て(特定行政書士に限る)

行政庁から許認可申請が却下された場合、「不服申立て」によって処分の取り消しや変更を求めることができます。

ただし、この手続きを行えるのは「特定行政書士」の資格を有する者に限られます。特定行政書士になるには、指定された研修を受講し、所定の考査に合格する必要があります。

許認可申請の流れと進め方

許認可の取得には、いくつかの明確な段階と手続きが求められます。この章では、申請前の準備から実際の申請手続き、さらにはその後の対応まで、全体の流れを解説します。行政書士のサポートを受けることで、煩雑な手続きを円滑に進めることが可能になります。

申請に向けた準備

許認可の申請を開始する前に、十分な準備が不可欠です。行政書士は依頼者との面談を通して、必要な情報や書類の洗い出しを行います。

初期相談と助言

  • ヒアリングの実施:申請予定の事業内容やその計画を詳しく聞き取り、どのような許認可が必要かを判断します。
  • 申請全体の見通しと助言:必要条件、求められる書類、申請の流れなど、具体的な指針を提供します。

書類の整備

申請に必要な各種書類をそろえる作業に移ります。行政書士は、書類の不備を防ぎながら、正確な申請準備を進めます。

書類の収集・確認プロセス

  • 必要書類リストの提示:申請に必要な書類を一覧にして依頼者に案内します。書類の収集と点検:依頼者から提出された書類をチェックし、必要に応じて補足や修正を行います。
  • 内容の精査:記載内容に漏れや誤りがないかを確認し、提出に備えます。

実際の申請手続き

準備が整ったら、いよいよ申請手続きに入ります。行政書士は書類作成から提出、その後の対応まで一括で支援します。書類作成のポイントは以下のとおりです。

  • 申請書の作成:行政書士が正確かつ丁寧に申請書類を作成します。
  • 添付資料の準備:必要な資料をそろえて、提出書類一式を仕上げます。

提出および事後対応

作成した書類は、行政機関に提出します。行政書士が代行することで、申請上のミスや手戻りを未然に防ぐことができます。提出とその後の対応は以下のとおりです。

  • 申請の提出代行:完成した書類を適切な窓口に提出します。
  • 提出後のフォロー:行政機関からの追加資料の依頼や問い合わせがあった場合にも、行政書士が対応します。また、申請者には進捗状況や今後の対応について適宜報告されます。

複雑で時間を要する許認可の取得プロセスも、行政書士の知識と経験を生かすことで、無駄なく確実に進めることが可能です。

まとめ

今回は、行政書士が担う「許認可申請業務」についてご紹介しました。

この業務は、運送業・建設業・飲食店・不動産仲介業・NPO法人など、都道府県や市町村といった行政機関からの許可や認可が必要な業種を対象としています。

行政書士がこのような申請業務を代行する際の報酬は、おおよそ5万円から20万円程度が相場とされています。

許認可申請は、行政書士にとって中核となる業務の一つであり、取り扱う分野も多岐にわたります。法改正や制度の見直し、新しい業種への対応など、常に変化が求められるため、最新の情報を継続的に収集し、知識のアップデートを続ける姿勢が欠かせません。

こうしたダイナミックな環境の中で、行政書士には新たな分野への挑戦の機会が数多くあり、業務に飽きが来にくく、やりがいを感じやすい点も特長です。

また、「自分で申請を進めるのは難しい」と感じるお客様からのご相談も多く寄せられるため、申請が無事に通った際には感謝されることも多く、人の役に立っている実感を得られる仕事でもあります。

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