11月 7 2024 /

税理士の仕事はAI活用で減る?AIによる業務の効率化も!

税理士の仕事はAI活用で減る?AIによる業務の効率化も!
Written by タックスドーム・ ジャパン
3 分

以前よく話題となっていたAIによって多くの職業が消えてしまうという衝撃的な未来予測は、まだ皆さんの記憶に残っていることでしょう。AIが革新的なテクノロジーであることは間違いありませんが、実際にどのような変化をもたらすのでしょうか。

この記事では、AIの進化と活用が税理士の未来にどのような影響を及ぼすかについて考えていきたいと思います。

AIの発展で税理士の仕事が消える?

AIの進化により、これまで人間が担当していた多くの業務がAIに代替されています。そのため、AIの発展によって税理士の仕事が減少するのではないかという声も聞かれます。

このように言われている理由を改めて説明します。

専門家による論文発表

2013年にオックスフォード大学の研究者が発表した論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT」(雇用の未来)では、AIの導入により702種類の職業が代替されると予測されました。その中には税務や会計に関連する次の業務も含まれていました。

  • 確定申告代行者:納税者に代わって所得税の確定申告書を作成・提出するという業務を行い、必要書類の収集、所得や控除の計算、税額の算定といった税務手続きを担います。
  • データ入力係:会計システムに領収書の情報などの財務データを入力する役割です。
  • 簿記、会計、監査担当者:企業や個人の財務記録を管理し、月次・年次決算や財務諸表の作成、内部監査など、財務状況の把握をする専門家です。
  • 給与支払い業務担当者:社員の給与計算や支払いを管理し、労働時間の集計や手当・控除の計算、給与明細の発行、税金や社会保険料の納付などを担当します。

当時は会計ソフトの普及は進んでいたものの、データ入力作業は主に手作業で行われており、「AIには無理だ」と言われていました。しかし、現在はクラウド会計ソフトが広まり、オンラインで入力作業・仕訳業務が行えるようになり、「AIが税理士の業務を奪う」という未来がより現実的になっています。

エストニアにおける税理士業務の消滅例

デジタル政府の先進国として知られるエストニアでは、AI技術の導入により税理士の業務が消えると言われています。エストニアでは、納税者のデータをAIが自動的に解析し、税務申告書を作成するシステムが運用されています。

このシステムによって、従来税理士が手動で行っていた多くの作業が自動化され、より迅速かつ正確に処理されるようになりました。

さらに、リアルタイムで監査機能を提供しており、不正やエラーを即座に検出できるため、エストニアでは税理士の業務は大幅に減少し、彼らはコンサルティングや高度な財務アドバイスへと業務の焦点を移しています。

この事例は、AIが税理士の業務にどのような変革をもたらすかを示しており、他の国に示唆を与えています。

クラウド技術による会計・税務の自動化

近年、会計や税務業務のデジタル化が進み、AIを活用した自動化が実現しつつあります。これにより、データ入力や整理、分析といった日常的な業務が効率化され、時間やコストの削減が可能となっています。

クラウド技術の導入により情報は一元的に管理され、リアルタイムでの更新や共有ができるようになり、リモートワークやテレワークの普及にも貢献しています。

また、AIの発展によって税金の計算や申告書の作成など、これまで人間が行っていた作業も自動化が進んでいます。この技術革新が進む中で、一部では税理士の仕事が消滅するのではないかという声も聞かれます。

しかし、AIが自動化できる範囲には限界があり、税理士の専門知識や経験が不可欠な業務も依然として多く残されています。

AIでは対応できない税理士ならではの業務

AIは単純作業や定型的な処理に強みを持っていますが、AIでは対応できない業務も存在しています。今後AIのさらなる進化が期待される中、税理士としてはより付加価値の高い業務に注力し、顧客の満足度を向上させるための対策を考えていくことが重要といえます。

顧客との対話・相談対応

AIは人間とのコミュニケーションを取ることができないため、税理士自身がクライアントである経営者と直接対話を行う必要があります。税務に関するアドバイスだけでなく、経営相談を通じて潜在的な課題を見つけ出し、その解決策を提案することも税理士としての重要な役割です。

税理士は経営者にとって「最も身近なパートナー」としての立場があり、記帳代行や税務申告だけでなく、経営戦略やキャッシュフロー管理、人事や労務に関する相談も頻繁に受けることがあります。これらの経営課題を顧問先と共有しながら事業計画を策定し、その実行をサポートするなど、コンサルタントとしての役割も期待されています。

さらに、税務に関する相談業務は、各クライアントの状況に応じたきめ細やかな対応が求められる上、税理士法によって税務業務は独占業務とされており、AIを使った代行は認められていません。

これらの業務はすべて、顧問先との信頼関係を土台にした深いコミュニケーションが不可欠です。AIに単純作業や定型的な業務を任せ、その分のリソースを顧問先との対話やコンサルティングに充てることで、税理士はより高度な付加価値を提供することが求められています。

高度な専門知識を要する業務

エストニアがシンプルな税制を採用しているのに対し、現在の日本の税制は非常に複雑で、毎年の改正によってさらに難解になっています。法人税、所得税、相続税などの異なる税目について理解を深めるだけでなく、顧問先の意向を考慮した上でのシミュレーションが必要となる場面が多く、AIにとって最適な解決策を導き出すことが難しいケースが多々あります。

また、AIは過去の人間の判断や関連情報を大量に学習し、「税理士であればどのように行動するか」を予測しているだけです。新しい情報や複雑な状況については十分なデータがないため、そもそも利用されないことも多いです。

特に、日本の税法には明確な基準が存在しない問題が多く、「グレーゾーン」と呼ばれる曖昧な領域が広がっています。これらの「グレーゾーン」については、立法の趣旨や過去の判例と照らし合わせながら慎重に判断する必要があるため、税理士のような専門的な知識を有する人間による多面的な検証が求められます。

このように、AIでは代替できない高度なスキルやノウハウが求められる業務を人間が担うことになると考えられます。税務や関連知識を深め、専門性を高めていく税理士ほど業務の幅が広がり、AIとの役割分担が容易になるでしょう。

税理士によるAI活用で可能な業務効率化の手法

税理士という職業は、コミュニケーション能力や高度な専門知識が求められるため、AIが完全にその役割を担うことは難しいことをお伝えしました。

しかし、AIの特性を理解すれば、税理士業務を支援する頼もしいパートナーとなるでしょう。このセクションでは、税理士がAIを活用する利点について説明します。

顧客からの質問への対応の一部の自動化

税理士業界の人材不足が深刻な中、税務に関する質問は多数寄せられます。また、同じ内容の問い合わせが異なるクライアントから寄せられることもよくあります。

そこで、例えば最新の税制に関する情報を学習したAIをチャットボットとしてウェブサイトに導入し、24時間365日税務相談に対応できるようにすることで、税理士の業務負担を減らすことができます。

このように人間の業務をAIに任せることで、少ない人数でも効率的に業務を遂行できるようになります。

基本的な書類作成の自動化

AIは、議事録や契約書といった基本的な文書の作成を行うことができます。ゼロから書類を作るのは手間がかかりますが、AIが生成した基本的な文を利用することで、作業時間を大幅に短縮できます。

さらに、AIには文章校正機能が搭載されており、誤字や脱字、表現の誤りをチェックすることもできます。これにより書類作成の効率と正確性が向上し、人為的なミスも低減されます。

膨大なデータの処理

AIは、人間が処理しきれないほどの大量のデータを瞬時に分析し、異常値や不審な点を特定する能力を持っています。

AIがクライアントの売上データを分析し、節税対策や経営改善に関する最適な提案を行うことで、クライアントの満足度を向上させることができます。さらに、経理データの中に潜む不正やエラーをAIが発見することも期待できます。

会計データの自動仕訳機能

従来、取引ごとの仕訳は税理士やスタッフが手作業で行っていたため、非常に多くの時間と労力を必要としていました。しかし、AIを活用することで、日々発生する大量の会計データを自動的に仕訳できるようになります。

具体的には、AIが銀行口座やクレジットカードの明細を解析し、各取引を適切な勘定科目に自動的に振り分けることが可能です。また、過去の仕訳データを学習することで、より正確な仕訳も実現できます。これにより仕訳の精度が向上し、人為的ミスを減らします。

領収書データの自動読み取り機能

AIのOCR(光学文字認識)技術を活用して、領収書に記載されている文字や数字を認識し、データ化する機能はすでに多くの会計ソフトやアプリケーションで採用されています。

この機能は、領収書の種類や形式を自動的に判断し、適切な項目にデータを振り分けることができるため、データ入力の精度を向上させます。

まとめ

働き方改革やインボイス、電子帳簿保存法の改正に対応するため、会計事務所でも生産性の向上が求められています。事務所の生産性を高めるには、AIを活用して定型業務の負担を減らし、付加価値の高いサービスを強化することが重要です。

生産性の高い事務所では、業務フローの見直しやアウトソーシングの活用により業務時間を短縮し、その余った時間をスタッフのスキル向上や高付加価値業務の拡充に活用しています。

税理士事務所の生産性を上げるには、AI機能も取り入れられた「TaxDome(タックスドーム)」の導入がおススメです。TaxDomeは、プロセスの自動化に重点を置き、税務や会計を含む士業事務所の業務効率を向上させるために設計されたクラウドベースの業務管理ツールです。

TaxDomeを導入することで、事務所内のタスクやプロジェクト管理、顧客とのコミュニケーションなど、事務所運営の大部分を自動化することが可能となります。米国でスタートしたTaxDomeは、グローバル市場で1万を超える事務所により利用されており、2024年春には日本版がリリース。DX化の必要性が特に謳われる日本国内においても、既に多くの税理士・会計事務所で運用がスタートされています。無料トライアルや製品デモも提供されているので、気になる方は導入検証をされることをオススメします。

タックスドーム・ ジャパン
タックスドーム・ ジャパン

税務・会計をはじめとする、世界中の様々な士業のオペレーション現場を支える業務マネジメントツール「TaxDome」が遂に日本でも利用可能になりました。興味のある方は、ぜひお気軽に japan@taxdome.com までお問い合わせください。

Ebook CTA

eBookが送信されました。メールをご確認ください。

エラーが発生しました。再度お試しください。

リモートの会計業務オペレーションをスケールアップするには?
有効なメールアドレスを入力してください。