オンライン請求書導入のメリットとは?普及の背景や移行時の注意点などを解説

オンライン請求書導入のメリットとは?普及の背景や移行時の注意点などを解説
Written by タックスドーム・ ジャパン
3 分
Published On 25 03 2025

これまで請求書は紙で郵送し、そのまま紙で保管するのが一般的でしたが、テレワークの普及に伴い、最近ではオンライン請求書を活用する企業が増えてきました。

では、私たちはどのようにオンライン請求書の導入を進めていけばよいのでしょうか?

この記事ではオンライン請求書導入を検討している担当者向けに、なぜオンライン請求書導入が必要か、メリット、具体的な進め方などを紹介します。

この記事を通して、もっとも身近な電子取引であるオンライン請求書の導入について、理解を深めていただけたら幸いです。

オンライン請求書とは?

オンライン請求書とは、従来の紙媒体ではなく、電子データで発行・保存がなされた請求書のことを指します。オンライン化された請求書は「電子請求書」「Web請求書」「電子インボイス」などと呼ばれ、インターネットを通じて取引先とやり取りされます。

電子請求書は紙の請求書と同様に法的な効力を持ち、税務調査でも正式な証拠書類として認められます。

電子請求書にも種類がある

電子請求書は、主に「メール型」「ダウンロード型」「システム型」の3つに分類されます。

メール型

Excelなどで作成した請求書をPDF形式に変換し、メールに添付して送付する方法です。手軽に導入できる反面、誤送信やデータ管理に十分な注意が必要です。

ダウンロード型

PDF化した請求書をクラウドストレージやファイル転送サービスを介してやり取りする方法です。データ管理や検索が容易で便利ですが、共有範囲の設定や、ダウンロード期限の管理などの運用面での工夫が求められます。

システム型

請求書の作成から送付までをシステム内で一元管理する方法です。導入時に業務プロセスの見直しが必要ですが、請求業務の自動化が進み、業務の正確性や処理スピードが大幅に向上します。

それぞれの特徴を踏まえ、自社の業務に最適な方法を選択し、効率的な請求書のデジタル化を進めていきましょう。

紙の請求書からオンライン請求書に移行するメリット

企業がペーパーレス化を進めることには、業務効率の向上以外にもさまざまな利点があります。主なメリットは次のとおりです。

コスト削減につながる

ペーパーレス化を進めることで、印刷や保管にかかる費用を大幅に削減できます。具体的には、紙やインクのコスト、複合機の購入・維持費、さらには郵送料などの負担が軽くなります。

また、紙の書類を保管するためのスペースが不要になるため、書類棚や鍵付き倉庫の購入費、オフィスの賃料や管理費なども節約できます。

さらに、業務の効率が向上すれば、これらのコスト削減に加えて、人件費の削減にもつながります。

業務の効率化が期待できる

ビジネスにおいてペーパーレス化を進めることは、業務効率や生産性を大幅に向上させる大きなメリットがあります。ビジネスの現場では、多くの文書や帳票を日々取り扱いますが、紙ベースの管理では手作業や物理的な管理が必要となり、効率や生産性の面で多くの課題が存在しました。

以下では、紙媒体で管理する場合の問題点と、ペーパーレス化による改善効果について比較しています。

紙での管理の課題 ペーパーレス化による改善
印刷業務 コピーや印刷に時間がかかる データのダウンロードや一括送信が可能になり、印刷作業が不要に
情報共有 印刷物を人数分用意し、手渡しや回覧が必要 クラウドへの保存や一斉送信、通知機能により、迅速かつスムーズに情報共有ができる
業務ミスのリスク 手作業の多さや労力により、集中力低下から転記ミス・確認ミスが発生しやすい PC上での文章・レイアウトの素早い修正やチェックツールの活用により、ミスの早期発見と業務の効率化が可能
取引先への送付 封入作業や郵送料が発生し、宛先ミスのリスクもある 封入作業が不要となり、電子メールやビジネスチャットを活用して簡単にデータを送信できる
保管・保存 文書のファイリング作業や保管スペースの確保が必要で、紛失・破損リスクもある 書類のファイリング作業が不要になり、紛失・破損のリスクや物理的な保管スペースの確保が不要に
検索性の低さ 書類の保管場所が不明な場合、手作業で1枚ずつ探す必要がある ファイル名や文書名、キーワード検索などにより、必要な情報を素早く見つけられる
業務時間の効率化 手作業が多く、業務時間が長くなる PC上で作業が完結し、共同編集も可能になるため、業務の効率化と品質の維持が実現
労力の負担 手作業が多いことで、作業負担が増え、ヒューマンエラーのリスクも高まる 業務の効率化により、より付加価値の高い業務へリソースを集中でき、企業全体の生産性向上につながる
拡張性の限界 人員の追加や作業フローの見直しでしか対応できない RPAとの連携による定型作業の自動化や、ほかの業務システムとの連携が可能になり、業務の柔軟性が向上

ペーパーレス化を導入することで、業務のあらゆる側面で効率が向上し、コスト削減やミスの防止、柔軟な業務対応が期待できます。

データの検索や管理が簡単になる

ペーパーレス化は、データ活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の土台となる重要な取り組みです。

紙媒体で管理していたさまざまな情報をデジタルデータに変換することで、データの検索性が向上するだけでなく、データに基づいたビジネス運営の実現も可能になります。

さらに、ペーパーレス化をきっかけに業務プロセス全体でIT技術を活用することで、自社のITスキルやノウハウの蓄積、IT人材の採用・育成といった中長期的なメリットも期待できます。

経済産業省の「DXレポート」では、DXの遅れによるリスクとして「デジタル競争での後れを取ること」「システム維持管理費の増加に伴うIT予算の圧迫」「セキュリティの脆弱性に起因するサイバーリスク」などが指摘されています。

ペーパーレス化を起点としたDX推進は、こうした将来的なリスクに備える上でも効果的な手段となります。

オンライン請求書を採用する企業が増えている理由

請求書の電子化が進んでいる背景には、「電子帳簿保存法の改正」「インボイス制度の導入に伴う経理業務の負担増加」といった要因があります。

これから、これらの理由について詳しく解説しますので、請求書の電子化に取り組む重要性を今一度確認してみましょう。

電子帳簿保存法の改正に対応するため

電子帳簿保存法(電帳法)は、1998年に施行された法律で、会計帳簿や決算書、請求書、領収書など、国税に関連する書類の電子保存に関する規定を定めています。

この法律では、書類を電子データとして保存する際に必要な手続きや要件が詳細に示されています。

近年、社会全体のデジタル化が進む中で、電子帳簿保存法は改正されました。財務省は、法改正の目的を「経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性向上、テレワーク推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上」としています。

改正された電帳法は、2022年1月1日から施行され、主に以下の2点が改正のポイントとなっています。

電子データ保存の義務化

2024年1月1日から、電子データとして受領した請求書は、そのまま電子請求書として保存することが完全に義務付けられました。受領者は、「可視性」と「真実性」を確保する方法で文書を管理する必要があります。

具体的には、「モニターや操作説明書を設置」「日付・金額・取引先で検索できるようにする」「訂正や削除を防ぐ仕組みを導入する」などの対応が求められます。

手続きの簡略化と要件の緩和

改正により、税務署長の事前承認が不要となり、タイムスタンプを付与したり、要件を満たすシステムを利用したりすることで、電子保存が可能となりました。この変更により、発行側と受取側がともに電子請求書を導入しやすくなったといえます。

2005年に施行されたe-文書法により、紙の書類をスキャンして電子データとして保存することが認められるようになり、紙での保存義務がなくなりました。それ以前は、7年間の紙保存が義務付けられ、企業にとって大きな負担となっていました。

しかし、当初は電子保存に切り替えるためには税務署長の許可が必要で、ハードルが高いと言わざるを得ない状況でした。そこで、2022年の改正により事前申請が不要となり、要件が緩和されたのです。

これにより、書類の電子化が進みやすい環境が整いました。

インボイス制度の導入に伴う対応

2023年10月1日から、インボイス制度がスタートしました。この制度により、買い手企業は仕入税額控除を受けるためにインボイス(適格請求書)を保存しなければならなくなりました。

一方、買い手企業が仕入税額控除を受けるために、売り手企業はインボイス発行事業者として登録し、課税事業者として消費税を申告する義務があります。

経理業務の負担を軽減するためにも、請求書の電子化など業務効率化に向けた取り組みが重要となります。

郵便料金の値上げがなされた

2024年10月の郵便料金改定により、定型郵便封書の料金が84円から110円に引き上げられました。紙の請求書を郵送する場合、およそ3割のコスト増加となるため、コスト削減を目的に請求書のデジタル化を進める企業が増加しています。

オンライン請求書への切り替え時の注意点

請求書のペーパーレス化を進める際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があるため、詳しくご説明します。

クライアントにしっかりと周知する

まずは、取引先に対して請求書のペーパーレス化を実施する旨を伝えましょう。通常は、対面での説明や案内文を用いた連絡が一般的です。

併せて、データ化された請求書を受け取った際に必要な対応方法や保存に関する要件についても、しっかりと周知することが大切です。

情報セキュリティ対策を徹底する

請求書のペーパーレス化を進める際には、セキュリティ対策が非常に重要です。これは、データをやり取りする際には常にセキュリティリスクが伴うためです。

必要に応じて、自社のセキュリティ体制を見直すことを検討しましょう。

具体的な対策として、次のような方法が考えられます。

  • アクセス権限やセキュリティ設定の厳格化
  • データの暗号化などによるセキュリティ強化
  • データの保管期限を適切に管理する
  • 文書管理システムを活用して不要なデータを適切に廃棄する

また、万が一情報漏えいなどの問題が発生した際に備えて、対応手順を事前に策定しておくことも大切です。

段階的に導入する方法も有効

一度にすべての業務をペーパーレス化しようとすると、現場に大きな負担がかかる可能性があります。

特に、請求書業務以外の業務も通常どおり進行している状況で、無理にペーパーレス化を推進することで、ほかの業務の品質が低下してしまっては本末転倒です。

そのため、段階的にペーパーレス化を進める選択肢も検討しましょう。例えば、最初のステップとして「年内に社内規定を見直す」「導入するシステムを選定する」といった具体的な目標を設定し、少しずつ移行を進めるとよいでしょう。

また、請求書業務に関わる従業員の理解度を確認しながら進めることも大切です。

まとめ

ここまでオンライン請求書について解説してきました。

業務の変革が期待できるオンライン請求書ですが、特に士業事務所でのオンライン化の業務効率化には「TaxDome(タックスドーム)」がオススメです。

TaxDomeを使えば、顧客への請求業務をすべて管理・実行できます。請求書の送付は自動化されたワークフローに組み込めるため、最適なタイミングで自動的に請求が可能です。

顧客は、TaxDomeの専用ポータルから直接支払いができ、事務所の決済プラットフォームとして活用できます。さらに、オンライン決済対応の請求書をワークフローの一部として発行できるため、手間をかけずにスムーズな請求が実現できます。

オンライン請求への切り替え、もしくは、請求を含む事務所オペレーションの効率改善を検討されている方は、無料トライアル製品デモも提供されている、TaxDomeの導入検証をされることがオススメです。

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