8月 1 2024 /

会計事務所における生産性とは?効率改善のポイントも紹介

会計事務所における生産性とは?効率改善のポイントも紹介
タックスドーム・ ジャパン

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3 分

生産性とは、事業運営において重要な要素の一つです。高い生産性で業務を行うことで、社会に対してより貢献することが可能になります。会計事務所においても生産性の概念は非常に重要であるため、生産性の本質を理解し、それを向上させるための努力が必要です。

そこでこの記事では、会計事務所における生産性について詳しく説明します。ぜひ参考にしてください。

会計事務所における生産性

製造業や小売業など、あらゆる業種において「生産性」は重要なテーマです。企業は日々、生産性向上に向けた取り組みを行っています。税理士業界も例外ではなく「モノ」という具体的な製品が存在しないという特性を持ちながらも、事務所全体の労働生産性を高めることは成長戦略において不可欠です。

ただし、単に結果を追求するだけでは十分な成果は得られません。まずは税理士業界の現状を正しく把握し、生産性向上の上で障害となっている課題を具体的に分析していきましょう。

生産性とは何か?

一般的に生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いであるとされています。

有形のものであれ無形のものであれ、何かを生産する際には、機械設備、土地、建物、エネルギー、原材料などが必要です。そして、これらの設備を実際に操作する人間も欠かせません。これら生産に必要な要素を「生産要素」と呼びますが、生産性とはこれらの生産要素を投入して得られる産出物(製品やサービスなど)との相対的な割合のことを指します。式で表現すると、次のようになります。

・生産性=産出/投入

つまり生産性とは、モノを作る際に生産諸要素がどれだけ効果的に使われたかを示す割合のことです。

例えば、最先端の工作機械を導入しても上手に扱えないと、機械はうまく作動せずに故障する可能性もあります。つまり「生産諸要素の有効利用度が低い=生産性が低い」ということになります。

投下された資本(インプット)に対する成果(アウトプット)が大きいビジネスモデルほど、生産性が高く、経営の効率化が図れます。とりわけ、労働は多くのビジネスにおいて不可欠な要素であり、「労働生産性」はその中でも特に重要視されるものであるといえます。

会計事務所における生産性

労働生産性とは、労働投入量1単位あたりの成果量や産出額を示す指標であり、税理士業界においても重要な評価基準です。会計事務所における労働生産性は、一般的に以下のように算出されます。

・1人あたりの労働生産性 = 付加価値額または売上高 / 職員数

・1時間あたりの労働生産性 = 付加価値額または売上高 / 総労働時間数

「付加価値額」は事業が生み出した価値を意味し、通常は原価を差し引いた粗利益と同義ですが、労働生産性の評価においては「売上高」が分子として用いられることもあります。

労働生産性の向上のための戦略として、従業員数や労働時間を変えずに生産量を増やす方法や、同じ生産量をより少ない従業員数や労働時間で達成する方法などが検討されています。

会計事務所の生産性を向上させることのメリット

生産性の向上によるメリットは多岐にわたります。

例えば、事務所の売上を維持しながら労働時間を短縮することで、職員の業務負担が軽減され、ワークライフバランスの改善・離職率の低下・モチベーションの向上に寄与します。また、税理士業界では人材不足が深刻化しており、既存の人材を効果的に活用することで、この問題の解消にも一役買うことができるでしょう。

生産性の向上によって業務時間に余裕が生まれた場合、その余剰な時間を活用して付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、事務所の売上や収益性を向上させるだけでなく、事務所全体の成長基盤を強化して職員の定着率向上にも寄与します。

会計事務所が生産性を向上させるポイント

人材は会計事務所の経営において、設備投資や資金調達より最も重要な資源です。しかし現在、あらゆる業種での採用競争が激化しており、会計事務所も例外ではありません。そのため、経験の浅いスタッフが増える中で生産性向上が大きな課題となっています。

会計事務所の生産性が低い理由

では、会計事務所の生産性が低い原因を考えてみましょう。ここでは、会計事務所の労働時間を「成果を生む時間」「将来の投資になる時間」「成果を生まない時間」の3つに分けて分析してみます。

会計事務所では、多くの場合「将来の投資になる時間」が充分に活用されていない一方で「成果を生む時間」の割合が高くなり、稼働率も上がっています。では「成果を生む時間」の割合が高いにもかかわらず、なぜ生産性が低いのでしょうか。

その原因は「成果を生む時間」の使い方にあります。成果を生む時間のうち、試算表や決算書を作成する作業や、本来有料で提供すべきサービスを無償で行う割合が高く、報酬を得られる業務の割合が低い状態にあると考えられます。そのため稼働率が高いとはいえ、実際に報酬を得る業務に費やされる時間は不足している状態です。

会計事務所にとっては「成果を生まない時間」の削減だけでなく、試算表や決算書の無償提供などに費やす時間を減らし、将来に向けた投資に時間を費やして生産性を向上させることが重要だといえるでしょう。

成果を生んでいる時間の課題

生産性を低下させる要因として、会計事務所における1クライアント1担当制という習慣もその一つと考えられます。

会計事務所では、すべての職員がすべての業務に対応できないのが普通です。例えば、クライアントとの関係が良好で巡回監査が得意な人もいれば、申告書を詳細に作成するのが苦手という人もいるかもしれません。

そのため、業務を効率的に分担することで得意な業務を集中して行い、事務所全体の生産性を向上させることができるでしょう。

顧問料の値下げ圧力が強まっている現在、事務所は顧客の要望に100%応じるのではなく、事務所自身の標準を確立し、それに基づいて業務を遂行することを視野に入れる必要があります。

このアプローチによって業務の標準化が可能になり、成功体験を積み重ねながら全体の生産性を高めていくことができるでしょう。

一人あたりの売上を増やすこと

生産性を高めるには、同じ労働量で成果を最大化する必要があります。従業員数を増やすのではなく、一人あたりの売上を増やすことが方法の一つとしてあります。

会計事務所全体の売上を増やすことも重要ですが、これは非常に難しいのが通常です。一人あたりの売上に焦点を当てることで、具体的な情報の把握と改善策の提案がしやすくなるといえるでしょう。

一人あたりの売上を把握するには、明確な管理と基準が必要です。これにより、売上増の施策を適切に実施しやすくなります。

時間あたりの売上を増やすこと

一人あたりの売上が増えたとしても、労働時間が長ければ効率的とはいえません。したがって、時間あたりの売上を増やすことも非常に重要です。

時間あたりの売上を把握するには、各業務や案件にかかる時間を明確に把握する必要があります。その上で、かかった時間と得られる報酬を比較し、時間あたりの売上を計算します。

時間あたりの売上を向上させるためには、事務所内での取り組みだけでなくクライアントとの報酬に関する交渉も有益です。

会計事務所で生産性を向上させるための方法

この章では、会計事務所で生産性を向上させる方法について解説します。

業務の可視化の重要性

はじめに業務の全体像を明確にし、組織全体で見える化する環境を整えることが重要です。オンライン上で仕事の進行状況や報告内容を可視化することで、業務品質の向上やサービスの改善に役立つデータを効率的に蓄積できます。

また、従業員のスケジュールをオンラインで管理・確認するITツールを導入することで、稼働状況に合わせた業務の適正配分が容易になります。

属人化した業務の標準化と効率化

組織全体の労働生産性を向上させるためには、業務マニュアルの整備などが不可欠です。特に、個人のスキルに依存している業務が多い場合は、ユーザーサポートが充実したシステムの導入などが有効な対策となります。業務の標準化を進めながら、効率を維持することが可能です。

IT技術の活用による業務改善

定型業務の効率化手段として、業務自動化システム(AI-OCR、RPAなど)の導入が効果的です。これにより、請求書の取り込みや入力業務などをシステム化し、業務の効率化やコスト削減が実現可能となります。

人材育成

生産性を向上させるためには、人材が何よりも重要です。売上増を短期的に追求するだけでなく、長期的な人材育成と将来への投資も大切です。会計事務所などのサービス業では、従業員の能力が大きく影響します。そのため、人材育成の取り組みが生産性向上に直結する可能性があります。

人材育成は時間と費用がかかりますが、生産性に対する投資として効果的といえるでしょう。

まとめ

各業界が人材不足に苦しむ中、会計事務所でも労働効率を高めて生産性を向上させることが不可欠です。生産性の向上は事務所の利益率を拡大させ、将来の成長戦略の基盤となるだけでなく、職員の定着率向上にも寄与します。

会計事務所が生産性を向上させるためには「業務の効率化」や「ITツールの最適活用」などを通じて労働効率を改善し、余剰なリソースを付加価値の高い業務に振り向けることが重要です。

各事務所の課題や状況によって生産性向上のボトルネックは異なるため、経営課題を明確にして効果的な対策を実行することが必要であるといえます。

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